西尾九条の会

代表世話人あいさつ

杉浦 一孝(名古屋大学名誉教授)
 
 

 日本国憲法第9条は、その誕生からまもなくして、厳しい試練を受けることになりました。朝鮮戦争の開始直後の1950年7月、連合国軍(占領軍)の最高司令官マッカーサーの指示にもとづいて警察予備隊が設置されました。これは、その後の日米両国政府による憲法9条敵視政策の先駆けとなりました。対日平和条約の発効後の1952年10月、この警察予備隊は保安隊となり、さらに1954年7月には、この保安隊は自衛隊となりました。日米両国政府は、米国の第2次世界大戦後の極東戦略にもとづいて、憲法9条をないがしろにする政策を取りはじめたのです。
 
 その後、日本の歴代政府は、自衛隊の増強を求める米国政府にしたがって自衛隊を増強し、憲法9条の形骸化を推し進めてきましたが、集団的自衛権を認めることまではしませんでした。それは、戦争を放棄した憲法9条を守りたいという意識が多くの国民のなかにあり、そのような意識に支えられながら、日米両国政府の憲法9条敵視政策に抗して平和を希求する国民のさまざまな運動があったからです。
 
 しかし、安倍自公政権は、2014年7月、それまでの歴代政府の憲法9条解釈を一片の閣議決定で破棄し、集団的自衛権の行使を容認するにいたりました。そして、さまざまな人たちから出された多くの批判・反対の声を黙殺して、2015年9月19日、その閣議決定を法制化した憲法違反の「平和安全法制整備法」が国会内の数の暴力により制定されました。この法律の中身をくわしく見ていくと、これが、集団的自衛権の行使を容認することにより、日本を海外で戦争する国に、すなわち、時の日本政府の命により日本の将来のある若者たちが他国の人たち(何ら罪のない子どもたちまでも)を殺し、殺される国にする法律であることが明らかとなります。まさに戦争法と呼ぶにふさわしい法律です。
 
 今日、この戦争法を廃止し、日本国憲法の破壊に向けて暴走する安倍自公政権を打ち倒して立憲主義を回復すること、これが平和を希求する日本国民にとっての喫緊の課題であります。憲法9条を守り、その理念を実現することを目的としている西尾九条の会にも、このような課題に取り組むことが求められているのではないでしょうか。
 
 西尾九条の会のホームページの開設にあたり、代表世話人の一人として、あいさつ代わりに、西尾九条の会も引き続き取り組まなければならない基本課題をあらためて示した次第です。
 

発足の経緯

 2004年6月に「九条の会」は梅原猛・大江健三郎・澤地久枝・井上ひさし・加藤周一ら9氏の呼びかけによって、思想・信条や立場の違いをこえて、憲法九条を守りたいという一致点でつくられた組織です。いまや全国各地に7000余の「会」がつくられています。この西尾市(旧吉良町、幡豆町)にも「九条の会」が有志の手で結成されました。「子どもや孫たちに、戦争中の過酷なつらい思いはさせたくない・・・」という戦争を体験した世代の方々の声を次の世代に引き継ぐために、歴史と文化の町、この西尾市からも平和を守る取り組みとして活動を始めました。
 

沿革

  • 2006年10月28日
    • 西尾幡豆9条の会設立
    • 2009年3月まで活動
  • 2009年8月2日
    • 吉良9条の会設立 
  • 2012年
    • 西尾幡豆9条の会、吉良9条の会を統合し西尾9条の会設立、現在に至る
    •  
    • 2016年度
    • 代表世話人:11人
    • 事務局:15人
    • 会計監査:2人

 

会の理念

憲法九条を守り、九条のもつ絶対平和の精神を広げる活動を行うことを旨とする。
 

西尾九条の会会則

  1. この会は、あらゆる立場をこえて、憲法九条を守り、活かすという一点で手をつなぎ、世論と運動をひろげることを目的とします。
  2. この会は、趣旨に賛同する個人で構成します。
  3. この会は、学習、広報、会員を増やすなど、前記の目的を達成するために必要な活動を行います。
  4. この会の活動は、あくまで会員の自主的な参加を基本とします。
  5. この会は複数の代表・事務局員、若干名の会計監査をおきます。
  6. この会の財政は、入会費と自主的な寄付・カンパでまかないます。
  7. この会の事務局は、西尾市吉良町吉田桑ノ木42に置きます。連絡先tel 0563-32-1684

 

活動内容 

・毎月1回の定例事務局会議
〈過去の活動概要〉
連続講座 学習会 署名活動 視察旅行 映画上映 デモ行進 スタンディング行動など